薬剤師転職で失敗しないための対処法!薬剤師を辞めたいと感じる理由も紹介
薬剤師は人の健康に関わるやりがいのある仕事です。
しかし、仕事で失敗したり職場で嫌なことがあったりすると、「辞めたい」と感じることもあるでしょう。なかには「薬剤師にならなきゃよかった」「薬剤師として働きたくない」と深刻に悩んでいる人もいるかもしれません。
そうは言っても、退職や転職にはリスクも伴います。感情に任せて行動してしまうと後悔する可能性があるので注意が必要です。
そこでこの記事では、薬剤師が辞めたいと思う原因や辞めたくなった時の対処法をお伝えします。辞めるかどうかの判断基準、転職で失敗しないポイント、おすすめの転職エージェントも紹介していくので、実際に辞めるとなった場合にも役立つはずです。
今、辞めたいと悩んでいる薬剤師の方は、ぜひ最後まで読んで問題解決につなげてみてください。
薬剤師の離職率をチェック!薬剤師の10人に1人は辞めている
以前に比べて転職が珍しくなくなった現在、転職によって希望の働き方を叶えている人はたくさんいます。
では、実際に離職した人はどのくらいいるのでしょうか。また、薬剤師の離職率は全体に比べるとどうでしょうか。
厚生労働省が行った「令和3年雇用動向調査」の結果によると、「医療・福祉」産業の離職率は、全体の離職率とほぼ同じ割合であることが分かっています。
全体 | 13.9% |
---|---|
医療・福祉 | 13.5% |
また、少し古いデータではありますが、平成23年に「株式会社ネグジット総研 MMPR事業部」が行った「薬局経営者・経営幹部アンケート」の結果では、薬剤師の離職率は9%となっています。
これらのデータから、離職している薬剤師は10人に1人程度の割合で存在していることが分かります。
薬剤師が「辞めたい」「辛すぎる」と感じる場合のよくある理由5つ
社会人であれば誰でも一度は「仕事を辞めたい」と思ったことはあるでしょう。では、薬剤師の場合はどのようなことが原因で仕事を辞めたくなるのでしょうか。
まずは、薬剤師を辞めたいと思うよくある理由から見ていきましょう。
理由1.人間関係で悩んでいる
職場の人間関係が良くないことが原因で仕事を辞めたいと考える人は多く、薬剤師も例外ではありません。
【人間関係の悩みの例】
- 薬局長が気分屋で対応に困る
- 上司から理不尽な指示をされる
- 先輩と相性が合わず指導を受けるのが辛い
- 職場の雰囲気に馴染めず居心地が悪い
薬剤師の主な職場である調剤薬局は、決して広い空間とは言えません。
また、少人数の店舗が多く人間関係も限られます。
苦手な人がいても距離を置くことはできず、狭い空間を長時間共有しなければならないので、人間関係の悩みは精神的に大きなストレスとなるでしょう。
特に、総合病院内の薬局や人気のあるクリニックのパートナー薬局などの忙しい職場では、スピーディーな対応が求められます。ミスが許されないプレッシャーもあるなかで、人間関係が悪ければ職場全体が殺伐とした空気になります。
居心地が悪いと感じれば、「辞めたい」と思ってしまうのも当然でしょう。
理由2.業務量や残業が多い
「毎日のように残業している」「業務量が多すぎて休憩もまともに取れない」など、過酷な勤務状況が原因で薬剤師を辞めたくなる人も多いです。
風邪やインフルエンザの流行の影響を受けて一時的に残業が増えた場合など、なんとか乗り切れることもあるでしょう。
しかし、処方箋の枚数に対して薬剤師が足りていない職場は、一人あたりの業務量が増えやすく残業にもなりがちです。
慢性的に残業が発生するようになれば、身体的な疲労はどんどん蓄積されていきます。職場と自宅の往復ばかりで休みもなかなか取れない状況では、心身への負担も大きくなる一方です。
残業代という形で収入が増えたとしても、身体的・精神的な負担を常に感じている状態では仕事へのモチベーションは低下してしまうでしょう。
理由3.ミスをしてしまった
新人薬剤師に多いのが、「確認不足で間違って薬を渡してしまった」「ミスを上司に厳しく叱責された」など、業務上の失敗がきっかけで辞めたいと思ってしまうケースです。
間違いやミスは誰にでも起こり得ることですが、薬剤師の業務は患者さんの健康に直接関わっているので軽視できません。
また、常に調剤ミスや調剤過誤がないよう十分に注意しながら業務にあたらなければならないので、「調剤ミスが怖くてこれ以上薬剤師として働きたくない」「薬剤師の仕事は責任が重すぎて向いていない」という理由から薬剤師という職業自体を辞めてしまう人もいます。
責任感が強い人やプレッシャーに弱い人ほど、薬剤師の仕事を辛いと感じてしまいがちです。
理由4.給与が低い・給与が上がらない
薬剤師に限りませんが、給与に対する不満から退職・転職を決断する人は少なくありません。
「過酷な労働のわりに給与が安い」と感じる人もいますが、薬剤師の場合、以下のように周囲の薬剤師に比べて給与が低いと感じることでやる気を失ってしまうこともあります。
- 平均年収より大幅に給与が低い
- スタッフ間で激しい給与差があって納得できない
- 業務内容はほぼ同じなのに薬局によって給与がまったく異なる
また、人の入れ替わりが少ない職場や役職自体が少ない調剤薬局に勤務していると、「上のポストが空く見込みがなく昇給が期待できない」「昇給してもわずかで長く勤務する意味が見いだせない」という不満も抱えやすいです。
働くうえで給与や昇給は大きなモチベーションになります。
逆を言えば、その点に対して抱いてしまった不満はなかなか消えるものではありません。
「労働に見合った給料が欲しい」「もっと稼げる職場に移りたい」と転職を考えてしまうのも無理はないでしょう。
理由5.教育体制が整っていない
教育体制が不十分な職場で働き続けることに意味を見出せなくなってしまう薬剤師もいます。
薬剤師という仕事は資格を取ったら終わりではありません。
医療や薬は常に進歩しているので、日々情報のアップデートや勉強を積み重ねていくことが薬剤師としての成長には欠かせないのです。
薬剤師としてのスキルアップやキャリアアップを目指しているのに自己成長を感じる機会がなければ、仕事への意欲も大きく低下してしまうでしょう。
薬剤師を辞めるべきかの判断ポイント!辞めずに解決する問題もある
ネガティブな感情でいっぱいになってしまうと、「薬剤師を辞めて違う仕事に就きたい」「薬剤師にならなきゃよかった」と思い詰めてしまうこともあるかもしれません。
しかし、一時の感情で辞めてしまうのは厳禁です。
勢いで退職を決めて後悔する人は少なくありません。今抱えている不満や悩みのなかには、薬剤師や今の職場を辞めずに問題が解決できるケースもあります。
そこでここからは、薬剤師を辞めるかどうかで迷った際に考えるべきことをお伝えします。合わせて、今の職場を辞めたほうが良いケースと辞めないほうが良いケースも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
辞めたいのは薬剤師の仕事か今の職場か明らかにする
まずは、辞めたいと感じる原因が「薬剤師の仕事」にあるのか、それとも「今の職場」にあるのかを考えてみましょう。
以下のような、薬剤師の業務に対して不満があるかどうかを振り返ってみてください。
【薬剤師の業務】
- 処方箋に基づき薬を調剤する
- 患者さんに服薬の説明をする
- 医薬品を販売する
- 薬の在庫管理をする
- 薬や健康に関する相談を受ける
- 薬学の知識を身に付ける
「薬剤師を辞めたい」と漠然と思っている人のなかには、実際には薬剤師という職業ではなく、薬局や病院など職場に対して不満を抱いていることも多いです。
薬剤師から薬剤師以外の職業に転職した場合、「収入が大幅に低下する」「これまで培ってきたスキルが役に立たない」といったデメリットがあります。
対して、以下のような不満がある場合は、薬剤師という職業自体がマッチしていない可能性があります。薬剤師から他の職種への転職を検討するのも選択肢のひとつです。
【薬剤師からの転職を検討しても良い場合】
- 調剤や服薬の説明など薬剤師の仕事が合わない
- 身に付けてきたスキルを生かせない
- 薬剤師の仕事とは別にやりたい仕事がある
今の職場を辞めたほうがいいケース
職場に対する不満のなかには、今の職場を離れたほうがいい場合と転職しない方がいい場合があります。
まずは、今の職場を辞めたほうが良いケースから見ていきましょう。
【今の職場を辞めたほうが良いケース】
- 職場の労働環境が劣悪
- 給与や休日に不満を感じている
- 人間関係に大きなストレスを感じている
- 既に心身に不調をきたしている
長時間労働がなかなか改善されないような職場は、なるべく早く離れたほうが良いでしょう。
過酷な労働は心身への負担が大きいため、病気やトラブルにつながる恐れがあります。心身に不調をきたしてしまっては、将来のキャリアにも影響が出てくるので転職も有効な手段と言えるでしょう。
給与、休日、人間関係が原因で悩んでいる場合も同様です。
これらの問題は社員ひとりでの問題解決が容易ではありません。
特に、人間関係は相手ありきの問題で人の性格を変えることはできないため、精神的なストレスも大きくなりがちです。我慢し続けた結果、体調を崩してしまう可能性もあります。
また、今の職場に対するストレスから既に心身に異常が出てしまっているなら、これ以上の無理は禁物です。
健康を取り戻すことを最優先に考えて、一旦職場から離れることをおすすめします。
退職・転職をしない方がいいケース
次に、今すぐの退職や転職は避けたほうがいいケースを見ていきましょう。
【今すぐに辞めるのは避けたほうが良いケース】
- 転職の目的が定まっていない
- 評価に不満を感じている
- 薬剤師の向き不向きで悩んでいる
転職の目的、やりたい仕事、実現したいキャリアプランなどが定まっていないようなら、急いで転職する必要はないでしょう。
自分に合った仕事や職場を見極めるには、具体的な転職プランが欠かせません。転職の軸があいまいなままではスムーズな転職活動は困難です。
まずは、今の職場で働きながら、興味のある業界や職種について情報収集を進めていくことをおすすめします。
また、「能力を正当に評価してもらえない」という不満から退職を決める人もいるでしょう。しかし、自分自身の評価と実際の評価との間に大きなギャップがあるケースもなかにはあります。
転職活動では冷静な自己分析も重要になってくるので、退職を急がずに、まずは自分自身を見つめる時間を作り、強みや弱みを把握するところから始めてみてはいかがでしょうか。
さらに、「薬剤師に向いていない」と感じて辞めたくなっている場合も同様です。
「薬剤師に向いていない」という悩みは経験や慣れによって解決する場合が多いです。
特に、若手や新人の薬剤師は経験・能力が足りないために向いていないように感じてしまうケースも少なくありません。
薬剤師を辞めてしまう前に、もう少し今の職場で薬剤師の仕事に向き合ってみても良いでしょう。
薬剤師を辞めたい時の対処法7つ!できることから取り入れてみよう
ここからは、「薬剤師を辞めたい」と悩んでいる人向けに対処法を5つ紹介します。小さなことでも行動してみることで、仕事への考え方や向き合い方が変化するので、できることから取り入れてみてください。
対処法1.身近な人に相談してみる
まずは、家族や友人など、信頼できる身近な人に今の気持ちを打ち明けてみましょう。
辛い気持ちやネガティブな感情は、ひとりで抱え込むとますます気分が落ち込んでいきます。
そんなとき、第三者に話を聞いてもらうだけでも、気持ちはふっと軽くなります。
また、会社への不満や職場の人間関係の悩みは、多かれ少なかれ誰もが感じていることです。共感してもらったり相手の話を聞いたりするうちに、「悩んでいるのは自分だけではない」と安心できるかもしれません。
対処法2.休暇を取って心身を休める
「辞めたい」「辛い」と感じているときは、自分で思っている以上に心身が疲弊してしまっている可能性が高いです。
有給休暇を取得するなどして、仕事から離れてリフレッシュする時間を作りましょう。
友人と会う、趣味に没頭する、少し遠くに旅行に行くなど、リフレッシュ法はさまざまですが、大切なのは、休暇中はなるべく仕事のことを考えないことです。
鬱々とした気分が晴れれば、仕事に対しても「もう一度頑張ってみよう」「できるところまでやってみよう」と前向きな気持ちが取り戻せるでしょう。
対処法3.休職して一旦仕事から離れてみる
数日間の有給休暇で気分転換ができれば良いですが、それでも心身の調子が良くならなければ、休職するというのも対処法のひとつです。
「休職するなんて職場の人に申し訳ない」「人手不足の職場で言いづらい」と思い悩む人も多いでしょう。
しかし、無理や我慢を重ねた結果、うつ病や適応障害などを発症してしまうケースも少なくありません。
うつ病
様々な心理的負荷などにより精神活動が低下し、抗うつ気分、興味や関心の欠如、不安・焦燥、精神運動の抑止あるいは激越、食欲低下、不眠などが生じ、生活上の著しい苦痛や機能障害を引き起こす精神疾患です。治療法としては、急用、薬物療法、精神療法を組み合わせます。
引用元:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
適応障害
環境変化によるストレスが個人の順応力を超えた時に生じる情緒面および行動面の不調です。うつ病など他の精神疾患の診断がつくには至っていない状態です。薬物療法も行われますが、環境調整、環境に慣れること、個人の順応力が増えることなどが状態の回復に重要です。
引用元:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
仕事から離れてゆっくり過ごせば、疲れ切ってしまった体や心をしっかり休めることができます。
心身の不調を感じているなら、まずは自分自身の健康状態を良くすることを最優先に考えてください。
対処法4.薬剤師になった理由を振り返ってみる
薬剤師の仕事を「つまらない」と感じてモチベーションが下がってしまっているなら、自分自身と向き合う時間を作って初心を思い出してみてはいかがでしょうか。
心に余裕がなくなってしまうほど忙しい職場では、日々、目の前の仕事をこなすだけで精一杯になってしまうことも多いです。
視野が狭くなってしまっている状態では、仕事や職場の嫌なところばかりに目にいってしまうのも仕方ありません。
そんなときは、以下のような点について考えて、意識的に薬剤師業務の良い部分を振り返ってみてください。
- なぜ薬剤師になりたかったのか
- なぜこの職場を選んだのか
- どんなときに薬剤師の仕事を楽しいと感じたか
薬剤師として働くなかで感じた喜びややりがいが、もう一度仕事に積極的に取り組む原動力になってくれるでしょう。
対処法5.3年後や5年後のキャリアプランを考える
「3年後には今より給料を上げたい」「5年後には専門的な知識を身に付けて専門薬剤師になりたい」など、キャリアプランを考えてみましょう。
薬剤師の仕事に限りませんが、目標や目的がない状態で意欲的に働き続けるのは難しいものです。
目標や目的があれば、その達成のために「どんな資格が必要か」「どんな経験を積めば良いか」など、今必要な行動が明確になります。
するべきことが分かればそれが日々の活力や刺激となって、モチベーションも向上します。今の仕事に対する姿勢も変わってくるはずです。
また、将来のキャリアを明確にしておくことは、「〇〇の資格を取ってから転職しよう」「薬剤師としてスキルアップができる研修制度の整った職場に転職したい」というように、退職の判断材料や転職先を探す際の基準もなります。
対処法6.やりたい仕事が明確な場合は資格やスキルを取得する
転職したい企業や職種が明確になっている場合は、転職に必要な資格やスキルについて調べておくことをおすすめします。
もちろん、今の職場を辞めてからの取得も可能でしょう。
しかし、勉強を始めたからといってスムーズに資格取得が叶うとは限りません。
資格によっては試験日が限られていたり難易度が高かったりと、取得に時間を要するものもあるので、あらかじめ詳細情報を調べておくようにしましょう。
今の職場で働きながら、転職のための力をつけておくことも有意義な時間の使い方と言えます。
対処法7.働き方や環境を変えられないか上司に交渉してみる
残業や休日出勤が多かったり特定の人が苦手で人間関係に悩んでいたりする場合は、勤務体系の変更や部署異動など、環境を変える方法がないか上司に相談・交渉してみてはいかがでしょうか。
会社の規模や状況にもよるので、絶対可能な対処法ではありませんが、「退職」という選択肢を取らずに環境を変える方法があるなら、辞める前にアクションを起こしてみて損はないでしょう。
その際の伝え方として意識すべき点は以下の2点です。
- 理由をきちんと伝える
- 環境を変えることによるメリットを伝える
「今の職場が嫌だから」などぼんやりとした理由では上司も納得しないでしょう。
また、「仕事に集中できるようになれば精度の高い調剤業務ができる」「異動によって〇〇のスキルを活かせる」というように、働き方や部署を変えることによって職場にどんなメリットがあるのかも合わせて伝えましょう。
転職失敗の理由として多いのは人間関係!転職を後悔する薬剤師は多い
転職するとなれば、誰しも「失敗したくない」と思いますよね。
しかし、実際に転職した薬剤師が必ず成功しているわけではないようです。
薬剤師向けの転職サイト「薬キャリ」のアンケートでは、「転職を後悔した経験があるか」という質問に対して53%と半数を超える薬剤師が「はい」と回答しています。
また、転職を失敗したと感じた理由については、以下のように「人間関係」と「年収」にミスマッチを感じた薬剤師が多いことが分かります。
【転職を失敗したと感じた理由と割合】
理由 | 割合 |
---|---|
人間関係 | 39.3% |
年収 | 25.4% |
勤務時間 | 14.8% |
スキルアップ | 14.8% |
勤務地 | 5.7% |
スタッフの人柄や相性など、人間関係の詳細は実際に働いてみるまで分からない部分が多いので、後悔ポイントになってしまうのも無理はないでしょう。
次の章では、薬剤師が転職で失敗しないためのポイントについてお伝えしていきます。
薬剤師の転職は厳しい?転職で失敗しないための6つのポイント
悩んだ末に退職を決断したら、今度は後悔のない転職につなげましょう。
ここからは、薬剤師が転職で失敗しないために押さえておくべきポイントを6つ紹介します。
ポイント1.転職先に求める条件・優先順位を決める
転職を決めたら、まずはきちんと自己分析を行って、転職先に求める条件や転職の目的をはっきりさせておきましょう。
転職の軸があいまいなままでは、「転職すること」が目的になってしまうなどして、ミスマッチの職場を選んでしまいかねません。
以下のように、転職の軸を明確にしておくと、多数の求人情報のなかから希望に近い職場を探しやすくなります。
- 年収が多少下がっても残業のない職場に転職したい
- 子供を持ちたいので産休・育休制度のある職場を希望している
- 仕事と家庭を両立のために「残業なし」「土日祝」の職場で働きたい
- 薬剤師として成長したいから研修制度が充実している病院に移りたい
- 薬局や病院ではなく、薬剤師の資格を活かせる企業に入社したい
転職エージェントを利用する際にも、転職先に希望していることやこだわりポイントを伝えやすくなるので、マッチング度の高い企業の紹介が期待できるでしょう。
また、希望条件を洗い出したら「絶対に譲れない条件」を決めるなどして優先順位もつけておきましょう。
求人情報を比較検討する際に役立つので、応募先の選定がスムーズになります。
ポイント2.徹底的な情報収集を行う
転職後に「こんなはずじゃなかった…」とならないためには、徹底的な情報収集が欠かせません。
以下のような点に着目して、なるべく多くの情報を集めましょう。
企業や職場の情報 | 将来性、企業風土、長く働ける職場かどうかなど |
---|---|
年収・待遇 | 給与、賞与、手当、福利厚生、休日、勤務時間、残業の有無など |
仕事内容 | 入社後、どのような業務を毎日遂行するのか |
職場環境 | 設備や備品、清潔さ、自宅から職場までの通勤距離など |
福利厚生 | 有給休暇の取りやすさ、育児制度の取得率など |
会社のホームページや採用ページはもちろん、薬学部出身の友人や以前一緒に働いていた先輩など、周囲の人から生の声を集めるという方法もおすすめです。
また、元社員や現社員が投稿している口コミサイトもチェックしておきましょう。
知恵袋のような匿名の口コミ情報などは100%鵜呑みにはできませんが、なかには口コミ投稿のために個人情報の登録が必要なサイトもあります。
企業や職場の働きやすさについて傾向を捉えるうえでの参考になるでしょう。
ポイント3.職場見学をして実際の雰囲気を確かめる
転職の失敗を防ぐための有効手段として、職場見学があります。
仕事中のほとんどを同じメンバーと狭い空間で過ごす薬剤師にとって、職場の雰囲気は仕事へのモチベーションに大きく影響します。
例えば、求人情報に「アットホームな職場」とあっても、実際に転職したら「まったくアットホームじゃなかった」「必要以上にプライベートを干渉される職場だった」といったこともあるので注意が必要です。
自分がそこで働くイメージができれば、入職後のミスマッチが起こるリスクを格段に減らせます。
以下は、薬剤師の職場見学で見るべきポイントです。リアルな雰囲気を掴む良いチャンスですので、しっかり確認しておきましょう。
【職場見学のポイント】
社員の性別・年齢層の構成 | ・若手が多いか、ベテランが多いか ・男性が多い場合、家庭の事情に対する配慮があるか |
---|---|
スタッフの応対 | ・薬剤師同士や薬剤師・受付事務のやり取りがスムーズか ・患者さんとのコミュニケーションや応対の様子はどうか ・日々の業務の忙しさはどの程度か |
使用機材や設備 | ・調剤や管理業務にどんな機材を使用しているか ・自分が使い慣れた機種が入っているか |
ポイント4.ライフステージの変化を考えておく
転職の際には、現在だけでなく今後のライフステージの変化を考慮したうえで職場を決定することが重要です。
特に女性薬剤師の場合、結婚、出産、育児、介護など、ライフステージが変わるたびに転職を繰り返す人も少なくありません。
希望の転職を実現したのに、短期間のうちに職場を変えなければならない状況になってしまってはもったいないです。
キャリアビジョンと合わせて人生設計も考えておくと、長く働ける職場にも出会いやすくなるでしょう。
ポイント5.転職先が決まってから退職する
「転職しよう」と決めたらすぐにでも退職したくなるかもしれませんが、可能な限り、現職を続けながら転職活動を行いましょう。
次の職場が決まっていない状態で退職してしまうと、一時的に無収入の期間が発生します。
すぐに転職先が決まれば良いですが、転職活動が長引いた場合、金銭面で困窮してしまうかもしれません。
「とにかく早く就職したい」「稼げればどこでもいい」という焦りから本来の目的とは違ったところに入職を決めてしまう可能性もあります。
また、新たな職場が決まっていない状態で退職することに対して、マイナスのイメージを抱く面接官もなかにはいます。
このように、退職後の転職活動にはリスクも多いので、退職は転職先が決まった後に行うことをおすすめします。
ポイント6.転職エージェントを利用する
転職が初めての方や働きながら転職先を探したい方におすすめなのが、転職エージェントを利用した転職活動です。
具体的なサポート内容はサービスによって異なりますが、転職エージェントでは転職支援のプロであるキャリアアドバイザーから、以下のような幅広いサポートを受けることができます。
【転職エージェントで受けられるサポートの事例】
- 求人の紹介
- 応募書類の添削
- 面接日程の調整
- 面接対策
- 入社条件の交渉
- 退職に向けたアドバイス
転職エージェントでは求人情報には掲載されない職場の詳細情報を入手していることも多いです。
自分自身では調べきれなかった情報を提供してもらえれば、自分に合った職場かどうかの判断材料として役立つでしょう。
薬剤師向けの転職エージェントを利用すれば、薬剤師の資格でできる仕事や薬剤師の経験を活かせる企業など、転職市場を熟知しているアドバイザーによるアドバイスが受けられます。
薬剤師として働き続けたい人はもちろん、「薬剤師を辞めて違う仕事がしたい」という人でも、自分に合った職場を探すことができるでしょう。
転職したい薬剤師におすすめの転職サイト・エージェント5選!
転職エージェントの利用については「やめたほうがいい」「やめとけ」といった意見もネット上に見られますが、上手に活用すれば、転職成功率を高めることができます。
そこで最後に、転職したい薬剤師の方向けにおすすめの転職サイト・転職エージェントを5つ紹介します。
なかには、幅広い職種を扱う総合型転職エージェントもあるので、薬剤師以外の仕事に興味がある人もぜひチェックしてみてください。
以下は、公開求人数の比較表です。
サービス名 | 公開求人数 |
---|---|
ファルマスタッフ | 45,814件 |
マイナビ薬剤師 | 44,561件 |
薬キャリエージェント | 41,665件 |
リクルートエージェント | 366,366件 |
doda | 188,022件 |
(2023年3月時点)
ファルマスタッフ
【こんな人におすすめ】
- 調剤薬局で働きたい人
- 転職で年収アップを目指したい人
- 地元密着型の転職エージェントを利用したい人
ファルマスタッフは、「株式会社メディカルリソース」が運営する、医療業界人材に特化した転職支援サービスです。
調剤薬局を母体として人材派遣・紹介会社を立ち上げたという背景があり、以下のように特に調剤薬局求人を豊富に取り扱っています。
公開求人数 | 45,814件 |
---|---|
調剤薬局の求人数 | 38,275件 |
(2023年3月時点)
また、600万円以上の高給与求人も多数用意しているので、転職で年収アップを狙っている人にもおすすめです。
さらに、職場情報に詳しい点もファルマスタッフの強みです。
ファルマスタッフは全国に12の拠点があり、各拠点にはエリア担当のコンサルタントが在籍しています。コンサルタントは直接薬局や病院に足を運んでいるので、求人紹介の際には「組織のビジョン」「職場の雰囲気」などより詳しい職場情報を提供してもらえます。
転職後の相談も受け付けているファルマスタッフなら、転職が初めての人でも安心して利用できます。
参考:【2024年08月更新】薬剤師の転職・求人・募集はファルマスタッフ
マイナビ薬剤師
【こんな人におすすめ】
- ドラッグストアで働きたい人
- 親身なサポートを受けたい人
- 地方での転職を希望する人
マイナビ薬剤師は、「株式会社マイナビ」が運営する薬剤師専門の転職支援サービスです。
薬剤師向けの転職エージェントのなかでもトップクラスの求人数を誇っており、2023年3月時点の公開求人数は44,561件です。
業種としては、「調剤薬局」「病院・クリニック」「ドラッグストア」「一般企業」などがありますが、以下のように、特にドラッグストア求人が多くなっています。
ドラッグストア(調剤併設) | 5,656件 |
---|---|
ドラッグストア(OTCのみ) | 6,815件 |
(2023年3月時点)
また、公式ホームページでは「企業で働く薬剤師の求人特集」「経験者向け!企業薬剤師の求人」といった求人特集も掲載されています。薬剤師の資格や経験を活かして企業で働きたい人もぜひチェックしてみてください。
さらに、登録者は薬剤師専任のキャリアアドバイザーによる親身なサポートも受けられます。
面談では、転職先に求める条件のヒアリングだけでなく、自己分析やキャリアのアドバイスも行っています。転職に向けて疑問や不安があれば、ぜひこのタイミングで相談してみてください。
全国に14の面談会場があるので、地方に住んでいる人はもちろん、引っ越し先など新たな土地での仕事を探している人も利用しやすいでしょう。
参考:【2024年8月更新】薬剤師の転職・求人・募集はマイナビ薬剤師
薬キャリエージェント
【こんな人におすすめ】
- なるべく早く転職したい人
- 希望エリアで良い求人が見つからない人
- 職場情報を提供してもらいたい人
薬キャリエージェントは、医療業界専門の「エムスリーグループ」による、薬剤師に特化した転職支援サービスです。
薬剤師登録者数№1という高い人気を誇っており、年間で20,000人を超える薬剤師が転職活動に利用しています。
登録すると、独自のネットワークを持つ薬キャリエージェントだからこそ保有可能な独占求人や非公開求人のなかから、希望に合った求人を紹介してもらえます。その数は最短即日で最大10件です。(派遣の場合は最大5件)
登録から紹介までがスピーディーなので、急いで転職したい人でも効率良く転職先が探せるでしょう。
また、良い求人がない場合には、希望に合うより良い条件の募集がないか丁寧に確認してくれますし、合わない条件があればコンサルタントが直接交渉してくれます。
さらに、薬キャリエージェントでは職場の内情も徹底的に調査しています。
「年収が高い理由」「働きやすさ」「有給休暇の取得状況」など、表から見ただけでは分からないところまでしっかり確認しているので、ミスマッチの少ない転職が実現します。
参考:薬剤師の求人・転職・派遣は薬キャリ| 薬キャリ by m3.com
リクルートエージェント
【こんな人におすすめ】
- 求人数の多い転職エージェントを利用したい人
- 幅広いサポートを受けたい人
- 地方での転職を希望する人
リクルートエージェントは、転職支援実績№1を誇る業界最大手の転職エージェントです。
以下のように、公開求人数・非公開求人数、ともに業界トップクラス!
公開求人数 | 366,366件 |
---|---|
非公開求人数 | 268,589件 |
(2023年3月時点)
業種・職種においても、営業・事務・IT・経営・電気・医療と幅広いので、さまざまな選択肢のなかから転職先が探せます。
このことから、薬剤師を辞めて違う仕事がしたい人や薬剤師の資格が活かせる珍しい仕事を希望する人にもおすすめのサービスと言えるでしょう。
また、リクルートエージェントに登録すると、各業界に精通したキャリアアドバイザーによるサポートが受けられます。
サポート内容は、「応募書類の添削」「面接対策」「業界・企業情報の提供」と幅広いので、転職成功率もぐっと向上します。
求人情報は全国各地を網羅していて、以下のように各地に拠点もあるので、地方に住んでいる方もぜひ利用してみてください。
doda
【こんな人におすすめ】
- 自分で求人情報を探したい人
- 自分好みのサービスを選んで利用したい人
- 自分自身の市場価値を知りたい人
dodaは、業界最大級の転職サイト・転職エージェントです。
「職種」「業種」「勤務地」などの条件を設定して、自ら求人情報を検索・閲覧することもできますが、以下のサービスを利用することで自分に合った使い方ができます。
「エージェントサービス」 | dodaの専門スタッフによるサポートが受けられる |
---|---|
「スカウトサービス」 | 企業から直接オファーが届く |
エージェントサービスでは、豊富な求人のなかから利用者に合った案件を紹介してもらえる他、書類の添削や面接のアドバイスなどのサポートが受けられます。
面接日程の調整や書類提出など、企業とのやりとりもすべて代行してくれるので、現職が忙しい人でも効率良く転職活動が進められるでしょう。
また、スカウトサービスを利用すれば、どんな企業からスカウトが来るかによって、自分自身の市場価値を知ることができます。
意外な企業と出会えるチャンスにもなるので、転職先の選択肢が増えるでしょう。
転職スタイルや好みに合わせて、ぜひ自分に合ったサービスを選んでみてください。
焦りや勢いで行動しない!辞めたいと感じたら一度立ち止まってみよう
紹介したように、薬剤師の離職率は決して低くはありません。また、以前に比べて転職は珍しくなくなり、転職によって希望の仕事に就いた人もたしかにいます。
しかし、転職の失敗談が多数あるのも事実です。焦りや勢いで退職してしまっては、その後のキャリアにも大きく影響します。
だからこそ「薬剤師を辞めたい」「薬剤師から他の仕事に転職したい」と感じたときは、一度立ち止まってみることが大切です。
「何に対して不満があるのか」「どうしたら解消できるのか」をひとつひとつ明らかにすることで、辞める・辞めないに関わらず、するべきことが見えてくるはずです。
誰にも相談できないなら、転職エージェントを活用するのもひとつの方法です。
せっかく薬剤師の資格を取得して、これまで培ってきた経験やスキルがあるなら、それらを活かした選択をしたいもの。ときには自分自身を見つめる時間を作って、後悔のない決断をしましょう。